フレーキングでアビサライトを溶かす(その2)

前回のプラントの問題点のうち、特に大きい問題が「全体の熱容量が大きい」「マグマポンプのスピードが遅い」だった。熱容量の大きさは施設の大きさ、建材の量に比例するので、もっとギュッと詰め込んだような実装をすれば解決する。

マグマポンプの問題は、マグマポンプはビスコゲルと高温液体を交互に吸い、10秒に1回くらい停止するから遅いわけだ。以前はこれは液体を分離するフィルターの問題だと思っていたのだが、実際はそうではなく、いかなるフィルターを使っても遅いままであると判明した。

このことからマグマポンプのフィルターは正常に動けばどんなものでもいいということになる。ただし、液体フィルターは動作に電気を使い、排熱があるので、真空下で冷却なしに動かし続ければいずれはオーバーヒートする。なので長期間使うマグマポンプでは液体フィルターではなく、フィルタリングベントを使った方がいい。閑話休題。

真空下での液体関係の仕様

というわけで、マグマポンプではなく液体貯蔵庫を使うことにした。まず真空下の液体貯蔵庫の熱伝導について、わかりやすい画像を作ったのでそれを見てほしい。


気流タイルと液体貯蔵庫の仕様は画像の通り。他にも重要な仕様がある。まずパイプ内部の液体と液体フィルターや液体遮断器は直接は熱伝導をしない。少なくとも真空下であれば、液体貯蔵庫と同じで内部の液体の熱が伝わることはない。

次に、精錬装置の場合、液体貯蔵庫と異なり内部の液体(冷媒)と外部との熱伝導を一切しない。これは真空だろうが非真空だろうが、一切しない。もし熱が漏れているような現象があればそれはパイプ経由で漏れているのであり、精錬装置から漏れているわけではない。

試作プラントその2


一見複雑だが、複数のモジュールが集まっているだけなのでモジュール単位で分けて説明する。簡単なものから順に説明していく。

マグマポンプ

右下のマグマポンプは説明する必要もないだろう。画像では全て吸い上げたので空になっているが、ポンプの左下には液体ニオブがあった。このポンプは液体ニオブとビスコゲルを交互に汲みあげるだけ。液体フィルターはビスコゲルを分離して排水口を通じて戻す。液体ニオブとポンプは触れないからポンプのオーバーヒートは起こらない。ビスコゲルがポンプに触れているので、液体があるという判定になりポンプは動作する。それだけ。

自動掃除機の冷却など

真空下の自動掃除機とコンベアローダーは自身の発熱によっていずれオーバーヒートする。だからビスコゲルにつけて、更に同じ部分に液体か気体の輻射パイプを入れて、外部の非真空の場所と熱交換をして排熱を除去する。真空下のオーバーヒート対策でよくあるもの。画像ではパイプは引いてあるがどうせサンドボックスだし面倒なので液体は入れていない。

Francis John氏は水素の気体パイプループを活用していた。気体パイプは液体パイプと干渉しないから引きやすい。なるほど。

水素塩素の理由

実際にフレーキングを起こす場所は水素と塩素で満たしている。その理由は以下の通り。

水素は熱伝導率がよい。塩素は悪い。また水素は軽く、塩素は重いので、上下に分離する。水素はダイアモンドの窓タイルから加熱されやすく、フレーキングを早く起こすのに都合がいい。塩素は加熱されにくく、上下で温度ムラができることにより、上から落ちてきた液体タングステンが冷えて固まる。実際実験すると水素だけ塩素だけだと微妙だったので水素塩素にした。

もし、フレーキングによってできた液体タングステンが長時間固まらないと、液体タングステンが底に貯まり、その質量が大きくなる。大きい質量の液体が固まると自然タイルになる。この位置の自然タイルは鉱夫ロボットで掘れないので厄介だ。もし水素塩素チャンバーに鉱夫ロボットを入れたとしたら、仮にオーバーヒート温度がなかったとしても全体の熱容量が増えて困る。なので、絶対にタングステンの自然タイルはできてほしくない。だからちゃんと冷ます必要がある。

塩素部分は二酸化炭素や酸素でもいいかもしれない。現実にこういうプラントがあるなら二酸化炭素や窒素のような不活性ガス、もしくは一酸化炭素のような還元剤のガスしか採用できないが、この世界では高温の金属が酸素やハロゲンに触れても酸化しないのでそういう反応は気にする必要がない。

コア部分(液体パイプ関係)

マグマポンプで汲みあげられた液体ニオブはまず精錬装置に入る。精錬装置は内部の液体の熱を外部に一切漏らさないので非真空の場所に置いてよい。液体ニオブを冷媒にして鋼鉄を精錬すると、液体ニオブの温度は約1000℃上昇する。精錬装置から排出された液体ニオブは最優先で液体貯蔵庫に入る。

液体貯蔵庫に入った液体ニオブはすぐに貯蔵庫の出力から出ようとする。この直後に温度センサーがあり、温度が3500℃以上なら液体貯蔵庫の入力に戻る方へ分岐し、3500℃以下なら精錬装置に入る方へ分岐する。液体貯蔵庫の入力側へ分岐した液体ニオブは、精錬装置の出力側になんの液体もなければ液体貯蔵庫へ入る。もし、精錬装置の出力側に液体があれば液体遮断器で留め置かれる。

液体貯蔵庫の出力から液体貯蔵庫の入力へ繋がる部分は単なる温度チェック用のループである。この単なる温度チェック用のループとやらが、精錬装置の出力を邪魔することがあってはならない。もし邪魔をすると次の精錬が行われるまでに無駄な時間がかかってしまう。

液体ニオブの温度の変化だが、精錬装置で1000℃加温されたあと、液体貯蔵庫内でダイアモンドの窓タイルに熱を奪われてどんどん下がっていく。3500℃以下になったらまた精錬装置に入れて1000℃加温する。

アビサライトの供給部分

わかりにくいのがここだ。コンベアメーターは、コンベアレール上の物体の重量を計測し、指定数量に達したらグリーン信号を出して、自身はコンベア遮断器のように物体を送るのを停止する。そして、リセットポートにグリーン信号がきたら物体を送るのを再開する。つまり、コンベアメーターの2つのポートを直結すると、単に数量を測って、指定数量に達したらグリーン信号を送るだけの動作になる。

そのコンベアメーターから来たグリーン信号の数をシグナルカウンタで数える。シグナルカウンタは0から9まで、グリーン信号が来た回数を数え、9の次はまた0になる。これには上級者モードというのがあり、上級者モードに指定するとシグナルカウンタの数字が指定した数字の倍数ならグリーン信号を出す。たとえば指定した数字が3なら、シグナルカウンタが0、3、6、9の数字であるときにグリーン信号を出す。

この指定した数字とやらが10だったらどうなるか。0のときだけグリーン信号を出す。つまり、コンベアメーターに100kg(100単位)を指定し、シグナルカウンタに10を指定すれば「1000kg通過したときだけグリーン信号」という動作が実現できる。1トン計が作れたわけである。

この1トン計は、フレーキングによって精製されたタングステンの量を測定している。つまり、アビサライトの自然タイルの横の水素が3500℃程度になると、フレーキングによってそのアビサライトが溶ける。溶けたアビサライトは液体タングステンになり、すぐ下の塩素によって冷やされて固体のアビサライトの瓦礫になる。その瓦礫は左下の自動掃除機によって斜めから吸い取られ、コンベアローダーに乗せられる。コンベアローダーの直後に1トン計がある。1トン計を通過したら、適当に外部に出ていく。

1トン計の部分を1トンのタングステンが通過したら、アビサライト供給用の自動掃除機が7秒動作する。この7秒というのは、1回だけ供給動作を行う数字である。自動掃除機は1回の動作で最大1トンを供給するから、周辺の一ヶ所に1トン以上のアビサライトを置いておけば自動化ディスペンサーに1トンだけ供給してくれる。

これが不思議な仕様なのだが、自動化ディスペンサーの隣に自然タイルがあって、かつ自然タイルと同じ物質を供給し、かつ自然タイルの質量が十分小さい場合、自然タイルの質量が増加する。

実際サンドボックスでやってみると、アビサライトが1マスの場合にアビサライトを自動化ディスペンサーで供給すると、更に隣のマスにアビサライトの瓦礫が出現してうまくいかなかった。2マス横並びにしたらうまくいったので、ここでは2マス横並びにしている。

もし供給する質量を制御しなかったらどうなるか? 自然タイルの質量が一定を超えると、自然タイル内に瓦礫が入った「埋まった物体」状態になる。この「一定」には物質ごとに決まった数値があって、アビサライトだと3200kgだった。つまり5kgのアビサライトの自然タイルにまとめて20トン供給すると、自然タイルの質量は3200kgになり、残りの17トン弱は「埋もれた物体」になる。なので、この「埋もれた物体」を回避するために1トン計が必要なのである。

なお、フレーキングでは自然タイルの質量が5kg以下なら溶けることはない。つまり、フレーキングでは自然タイルが消滅するなどの事態は起こらない。フレーキングについてはプレイヤーズノートのフレーキングの解説を読んでほしい。

素材の指定など

液体貯蔵庫から出て、液体遮断器の入力までの部分には断熱材の断熱パイプを使ってほしい。この部分は、長時間液体ニオブが留め置かれる可能性があり、断熱材以外の素材だとパイプと液体ニオブの間で熱交換が起こり、液体ニオブの温度が下がって固体になりパイプが破損する。それ以外のパイプは黒曜石の断熱パイプで構わない。

断熱タイルだが、水素塩素がある部分は断熱材にしてほしい。サバイバルで作る場合、この部分もアビサライトの自然タイルにしておけば素材を節約できる。が、断熱材にしたほうが熱の利用効率がいい。(追記。実際やってみたらアビサライトより断熱材の方がずっとよかった)

それ以外の、自動掃除機、液体貯蔵庫、液体遮断器、ポンプなどの素材はなんでもよい。鉄鉱石で構わない。

真空にする場所について

画像では精錬装置のある場所以外、すべて真空になっているが、実際には液体貯蔵庫とマグマポンプのある場所、高温のタングステンを搬出する経路だけ真空になっていればよい。

高温のタングステンは金属火山テイマーでよくある液体クーラーと蒸気タービンで固体を冷やす装置に入れたらいい。

液体貯蔵庫の熱伝導のバグについて

液体貯蔵庫の内部に高温の液体が入っていて、かつ熱伝導を起こすような条件になっているのに、一切熱伝導をしない場合がある。英Wikiによると液体貯蔵庫の熱伝導の仕様は承認されたものらしく、仕様通りにならないということはバグである。

このような場合は、液体を抜き取ってから液体貯蔵庫を一度解体して再設置してまた液体を入れるか、セーブデータを再度ロードするか、ONIを再起動するかのいずれかをやると解決することが多い。だいたいはリロードで解決する。

このプラントの問題点

ドレンタンクを実装していないので、施設を稼働し続けなければならない。安全に停止することができない。サバイバルでの実装では熱伝導用のタンク、精錬装置、ドレンタンク、再び熱伝導用タンクというふうにループさせた。そうすればドレンタンクの直後に液体遮断器を入れるだけで安全に停止させられる。

参考

色んなアビサライトメルターの実装を見たが、ほとんどがマグマポンプを常時使うものであり、液体貯蔵庫を利用したものはこの2つくらいしか見たことがない。もし実際にサバイバルで作ろうとしている人がいるなら、常時マグマポンプよりも液体貯蔵庫の方がずっと性能がいいので、そちらを推奨する。

続き

コメント

このブログの人気の投稿

フレーキングでアビサライトを溶かす(その1)

過熱蒸気噴出口(高温蒸気噴出口)の攻略 (その1)